はじめに
日本人の3人に1人は、がんで亡くなっていく時代、早期発見・早期治療が、がん死亡率の低下につながります。
PET検査はそのがん発見に有用な検査法として登場しました。
PET検査により従来のCT・MRI検査では捉えることのできなかった、細胞の機能・代謝画像を得ることが可能となりました。
また、がん発見だけでなく脳疾患・心疾患にも有用性が証明されています。
近江草津徳洲会病院では、安心して任せて頂ける病院をめざしPET検査装置を導入しています。
PET検査とは?
PETはPositron Emission Tomography(陽電子 放出 断層撮影)の略で、ポジトロン放出核種と呼ばれる放射性同位元素を使用する核医学検査のひとつです。
ポジトロン(陽電子)とは、負電荷を持つ電子の反対の粒子で、正電荷を持っています。
ポジトロンと電子は互いに引き寄せられ、結合して消滅します。このときに、2本のガンマ線を正反対の方向に放出します。
PETはポジトロン放出核種で標識された薬を体内に投与し、この2本のガンマ線を検出することで画像化する検査です。
PETで使う薬は?
ポジトロン放出核種を含んだ薬剤で、18F-FDGというブドウ糖によく似た薬剤を使用します。
これを体内に投与すことにより体内の糖代謝を画像化することができます。
ポジトロン放出核種は半減期(ガンマ線が半分に減る時間)が短いため病院内で薬を作る必要があります。
サイクロトロンと呼ばれる加速器を使用して18Fを製造し、合成装置でブドウ糖に標識します。
これを、専任の薬剤師が純度試験、無菌試験を行い検査に使用します。
PET検査でわかること
がん細胞は細胞分裂が盛んなため、エネルギー源であるブドウ糖を正常細胞の3~8倍多く消費するとされています。
そのため18F-FDGもがん細胞内に多く集積し、これをPET装置で撮影することで、がんの位置や活性の度合いを検出できるというわけです。
また、今回導入されるPET・CTを使用することで、更に正確な位置を知ることができます。
当院では、がんの検査が中心となりますが、糖代謝の高い脳や心臓の機能を評価することができます。
脳の検査では、痴呆性疾患の診断や、てんかん焦点の検索、心臓の検査では、心筋梗塞等の後で、心筋組織が生きているかどうかの診断等も行えます。
ご注意
一部週刊誌などでは、PET検査はどんな小さながんでも発見可能などと誇張して述べられていますが、がん細胞の種類によっては有効性の乏しいものもあります。
また、機械の特性上、ある程度の大きさでないと検出されない場合もあります。
このため、PET検査だけでなくほかの検査もあわせて受けられることをお勧めします。