当科では
『麻酔科医の役割と私の方針』(麻酔科医師:林)
麻酔科医の役割は、ただ単に麻酔を行うということではなく、安全な麻酔を行い、患者さんに安心して麻酔を受けていただくことであると私は考えております。
ただ単に麻酔を行うということだけであれば、医師であれば、少し勉強するだけで、だれでもすぐに行うことができます。しかし、安全に麻酔を行うためには、様々な経験をつむ必要があるのはもちろんのことですが、術前に患者さんの状態等をしっかりと把握し、行う麻酔のプランをきっちりたてて、それに合わせた準備を整えることが、実は一番大事なことなのです。
私は、常々『麻酔が安全に行えるかどうかは、麻酔を行うより以前に、すでに9割がた決まっている』と考えております。そのため、私が麻酔を担当する患者さんには、必ず麻酔科術前外来を受診して頂き、直接患者さんの顔を見てお話することで、カルテや検査だけではわからないような情報も得て、術前の準備をしっかりと整えて、麻酔を行うように努めております。(逆に言えば、術前にしっかりと患者さんの状態を把握せずに、準備を怠った状態で麻酔を行うことは、非常に危険な行為であると考えておりますので、よほどの超緊急手術でない限り、麻酔科術前外来受診を必須としております。)
麻酔科術前外来は、(原則的には)水曜日と土曜日の午前診で行っており、一人あたり約30分(~1時間)と、たっぷり時間をかけてお話をしております。麻酔は非常に怖いものだと強い不安を抱いておられる患者さんも多いとは思いますが、できる限り丁寧に説明をし、患者さんが納得したうえで、安心して麻酔を受けていただけるようにと心がけておりますので、麻酔に関して気になる事などがある場合には、その時に遠慮なく質問していただければと思っております。
患者さんにとっては、麻酔科術前外来受診というひと手間が増えてしまい面倒だと思われる方もおられるとは思いますが、そのひと手間により、麻酔をより安全に行うことができますので、安心して安全な麻酔を受けていただくためにも、麻酔科術前外来を受診して頂くように、よろしくお願いいたします。そして、患者さんの期待を裏切らないようにと心がけて、これからも麻酔業務を行っていきたいと思っております。